離婚後の面会交流、元配偶者が応じてくれないときはどうすればいい?知っておくべき対応と解決策

2025年10月06日

離婚後、親権を持たない親が子どもと会うための「面会交流」は、親子の絆を保つうえで非常に重要な権利です。
しかし実際には、「元配偶者が一方的に拒否してくる」「約束を守ってくれない」「連絡すら取れない」といったトラブルが少なくありません。

感情のもつれや再婚の影響など、背景はさまざまですが、子どもにとっては“親と会う権利”が保障されることが最も重要です。
本コラムでは、面会交流に応じてもらえないときの具体的な対応方法や注意点、そして専門家への相談の重要性について解説します。

■ 面会交流とは?法的にはどう位置付けられている?

「面会交流」とは、離婚した親が、親権を持たない側の親と子どもが定期的に会ったり連絡を取ることを言います。
民法では「父または母と子との面会およびその他の交流」(民法766条)として明記されており、原則として、面会交流は子どもの健全な成長のために保障されるべきものとされています。

つまり、親の都合や感情で一方的に拒否することは、本来許されるべきではないのです。

■ よくある「面会拒否」の理由とその背景

面会交流に応じてくれないケースでは、以下のような理由が挙げられます:

  • 「子どもが嫌がっている」と言われる
  • 養育費が未払いだからと報復的に拒否する
  • 元配偶者の再婚・新生活のため関係を断ちたい
  • 過去のトラブルが原因で会わせたくない
  • 連絡が取れず、一方的に無視される

ただし、これらの理由がすべて法的に正当とは限りません。
特に、「養育費の未払いを理由に面会を拒否すること」は違法とされる可能性が高いです。養育費と面会交流は別々の権利であり、相殺できるものではないとするのが家庭裁判所の基本的な考え方です。

■ 面会交流の拒否に直面したときの対応ステップ

① 話し合いによる解決を試みる

まずは冷静に話し合いの機会を設けましょう。感情的な言葉を避け、「子どものために会わせてほしい」という姿勢で伝えることが大切です。
LINEやメールなど、記録が残る形でのやりとりが望ましいです。

② 調停の申し立て(家庭裁判所)

話し合いで解決しない場合は、家庭裁判所に**「面会交流調停」**を申し立てることができます。
この調停では、家庭裁判所の調停委員が間に入り、双方の意見を聞きながら面会の頻度や方法について合意を目指します。

たとえば、

  • 月に1回、3時間の面会
  • 学校の行事や誕生日に面会を追加
  • オンライン面会の活用

など、柔軟な提案が可能です。

③ 審判や履行勧告・間接強制も選択肢に

調停が不成立になった場合には、**裁判所の判断による「審判」**に移行します。審判で面会交流が認められた場合、それに従わなければなりません。

それでも相手が応じない場合は、

  • 履行勧告(裁判所から履行するよう促す)
  • 間接強制(一定額の制裁金を課す)

などの強制的措置も可能になります。

ただし、これらは実施までに時間がかかることも多く、子どもの成長とタイミングの問題もあるため、早めの対策が重要です。

■ 面会交流は「親の権利」であり「子どもの利益」

面会交流において忘れてはいけないのは、**「面会は親のため」ではなく「子どものため」**にあるということです。

親が離婚しても、子どもにとってはどちらも大切な存在です。
会えないことで精神的に不安定になったり、自己肯定感が下がるリスクも指摘されています。

つまり、面会交流を拒否されることで最も傷つくのは子どもであり、それを防ぐために法律は一定の保護を用意しています。

■ 弁護士に相談することでできること

とはいえ、実際には元配偶者との関係が悪化していたり、連絡を取ること自体がストレスという方も多いはずです。
そんなときこそ、弁護士に相談することで状況が大きく変わることがあります。

弁護士に依頼すれば、

  • 面会交流の交渉を代行してもらえる
  • 家庭裁判所への申し立てもスムーズに
  • 法的根拠を持って元配偶者に対応できる
  • 感情的なトラブルを避けながら進められる

といったメリットがあります。

また、相手が感情的にこじれていても、第三者としての専門家が介入することで、面会交流が認められる可能性が高まるケースも多いです。

■ まとめ:子どもとの関係を守るために、まず一歩踏み出して

離婚後の面会交流トラブルは、時間が経てば経つほど解決が難しくなります。
「これ以上関わりたくない」「面倒くさい」と諦める前に、まずは専門家に相談してみてください。

面会交流は親の権利であると同時に、子どもにとって人生の支えになる大切な時間です。
その時間を守るためにも、冷静な判断と法的手段が必要なときがあります。

もし一人で抱えきれない場合は、家庭問題に強い弁護士へ早めに相談することが、解決への近道になるはずです。

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【記事の監修者】

松山 哲彦(九州総合法律事務所 代表弁護士)

福岡県弁護士会所属 第44478号

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