不倫の慰謝料を請求されたけど払えない…どうすればいい?

2025年10月06日

不倫関係が相手の配偶者にバレてしまい、慰謝料を請求された——。
そんな状況は、想像するだけでも心が重くなりますよね。

現実問題として、数十万〜数百万円の慰謝料を「今すぐ一括で払え」と言われても、用意できない人が大半でしょう。
では、支払えない場合はどうしたらいいのか?逃げられるのか?それとも、どこまで話し合えるのか?

この記事では、不倫の慰謝料が支払えないときに考えるべきポイントや、実際に起こりうるトラブル、そして冷静な対応策についてまとめています。

■ そもそも慰謝料っていくらくらい?

不倫に対する慰謝料の相場は、一般的に50万~300万円程度とされます。
ただし、金額はケースバイケースで、「不倫の期間」「関係の深さ」「バレた経緯」などによって変動します。

たとえば一時的な関係であれば50万程度にとどまる場合もありますが、数年にわたる交際や同棲、妊娠や中絶、家庭崩壊に至るようなケースでは200万以上になることも。

特に長期間の付き合いになると、「精神的苦痛が大きかった」として請求額が引き上げられる可能性が高くなります。

■ 払えないからといって、無視はNG

支払えないからといって、相手からの連絡や内容証明を無視するのは絶対に避けるべきです。

相手が本気で請求してきている場合、こちらの無反応を「反省の色がない」と判断し、裁判に持ち込まれる可能性があります。
もし裁判になり、判決で支払い命令が出た場合、財産や給料の差し押さえといった強制執行に発展することもあります。

金銭的に支払えないなら、「誠意を持って協議する姿勢」が何よりも大切です。

■ 分割での支払い交渉はできる

慰謝料は民事上の損害賠償なので、支払い方法については当事者同士での交渉が可能です。
収入や生活状況を正直に伝えた上で、分割払いの提案を行うのは現実的な対応の一つです。

たとえば、「月3万円を2年間支払う」といったように、相手の合意を得られれば分割払いも成立します。
この場合、公正証書などで支払い内容を明文化しておくと、後のトラブルを防げます。

ただし、相手が感情的になっている場合や、弁護士を通しているケースでは、一括払い以外は認めないという強硬な姿勢をとられることもあります。

■ 支払いが遅れたら、遅延損害金や追加請求の可能性も

注意すべきなのは、支払いが滞った場合のペナルティです。
合意書や裁判所の判決に従っていない状態が続くと、**遅延損害金(利息)**が発生することもありますし、相手側が再び強硬な請求をしてくる可能性もあります。

また、交際の期間が長ければ長いほど、「精神的に追い詰められた」と主張され、追加で慰謝料を上乗せして再請求されるリスクもあります。

「払えないから仕方ない」で済む話ではなく、誠実な交渉と書面での取り決めが、今後の自分を守ることにつながります。

■ 弁護士に相談するのが安心

相手側が弁護士を立てている場合、こちらも弁護士を通して対応するほうが安全です。
法律的な観点から、慰謝料の妥当性や減額交渉の可能性を探ることができますし、言い過ぎ・書き過ぎといったリスクも減らせます。

弁護士費用が気になる場合であっても、無料相談ができることが多いので、まずは問い合わせてみましょう。

■ 「今後一切会いません」の意思表示は重要

慰謝料の支払いと同時に、「今後一切接触しない」という意思を明確にすることも大切です。
これがないと、相手配偶者側に「また会っているのでは?」という不信感を持たれ、再度の請求や監視的な行動につながることもあります。

感情の整理がついていない段階では、相手側が強い怒りを抱き続けるケースも少なくありません。
できるだけ早く、不倫関係そのものに終止符を打ち、誠実な対応をすることで、トラブルを最小限に抑えることができます。

■ 最後に

不倫の慰謝料請求は、精神的にも経済的にも非常に重たい問題です。
「払えない」という現実を前に立ちすくむこともあると思いますが、逃げずに向き合えば、話し合いの余地はあるものです。

大切なのは、「責任をどう取るか」という姿勢と、「これ以上関係をこじらせないこと」。
冷静に、誠実に、そして法的な知識も持ちながら、最善の解決を目指すことが、自分自身を守る一歩になります。

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【記事の監修者】

松山 哲彦(九州総合法律事務所 代表弁護士)

福岡県弁護士会所属 第44478号

「不倫にお困りの方の力になりたい」という思いから、不倫慰謝料請求の専門チームを立ち上げました。相談実績3万5000件以上。不倫関連にお困りなら何でもご相談ください。