不倫による慰謝料請求を考えたとき、よく話題になるのが「時効」です。時効とは、一定期間が経過すると法的な請求権が消滅する制度のこと。つまり、不倫が発覚しても、時間が経ちすぎると慰謝料を請求できなくなる可能性があるということです。今回は、不倫の慰謝料請求に関する時効についてわかりやすく解説します。
1. 不倫慰謝料請求の時効は基本的に3年
不倫による慰謝料請求は、「不法行為に基づく損害賠償請求」として扱われます。民法によると、不法行為の時効は「被害者が損害および加害者を知った時から5年」です。つまり、不倫の事実と相手が誰かを知った時点から5年以内に請求しなければ、時効が成立し請求権が消滅します。
2. 不倫の不法行為はいつから始まる?
不倫の不法行為は、性的関係を持ち始めた時点や不倫関係が明らかになった時点から発生するとされています。ただし、不倫の事実を知ったのが後であれば、その知った時点から時効がスタートします。たとえば、配偶者の不倫に気づくのが遅れた場合、その気づいた日から3年がカウントされます。
3. 時効の更新と完成猶予とは?
時効は一度スタートすると止まらないわけではありません。時効の「更新」や「完成猶予」と呼ばれる制度があり、請求や交渉を始めることで時効がリセットされる場合があります。
例えば、加害者(不倫相手)に対して内容証明郵便で慰謝料請求をしたり、裁判提起したりすると更新され時効がリセットされます。加害者が未成年や精神障害などの状態で意思表示ができないといった場合には時効の完成が猶予されることがあり、時効の期間のカウントが止まり、完成猶予期間が終わってから停止していた時効のカウントが再開することなります。
4. 時効が過ぎてしまったらどうなる?
5年の時効が過ぎてしまうと、基本的には裁判で慰謝料を請求しても「時効の援用」をされてしまい、請求権が認められなくなります。ただし、被害者が不倫の事実を知っていなかったなど、例外的に時効の起算点が後ろにずれるケースもあるため、一概に請求できないとは言い切れません。
5. まとめ
不倫の慰謝料請求は、発覚後できるだけ早く行動することが非常に重要です。時効の5年はあっという間に過ぎてしまうため、証拠収集や専門家への相談を早めに始めましょう。時効に関する知識がないと、せっかくの請求権を失ってしまうリスクがあります。心配な方は弁護士に相談し、適切な対応を取ることをおすすめします。